この休眠中のブログに記事を書くのも1年ぶりだが、自分のブログをまだ用意していないのでこちらで。
はい、齋木です。
この記事はWebアクセシビリティ Advent Calendar 2018の12日目の記事です。
先日、第1回 mgnアクセシビリティ公開社内勉強会 #a11y_mgnという勉強会を開催したので、そこで感じた(主にエモい)ことをつらつら書こうと思う。
そもそも、なぜ「アクセシビリティ」?
具体的に「いつから」というのをはっきりとは覚えてはいないのだが、『webアクセシビリティ』に興味があって、勉強会に行ってみたり自分で調べてみたり、アクセシビリティのslackに参加してみたりなどしていて、どうやら「アクセシビリティ大事」ということだけは理解しているつもりではいた。
ひとつきっかけとして思い当たるのは、もう何年も前になるが赤羽でたぁさんが主催する勉強会で今回登壇いただいた中根さんのデモを見たときだろうか。
音声ブラウザを使ってwebブラウジングする中根さんを見た時の衝撃は、僕にとってそれはそれは大きいものだった。
アクセシビリティもそうだが、そもそも自分はマークアップとWordPressの構築が主な業務なので「できるだけコードを正しく書きたい」という目標はあって、今でも相変わらず「HTML難しい(´・ω・`)」と思いながら日々を過ごしている状態である。
現状の悲惨さ
上記に書いたように「できるだけコードを正しく書きたい」と思ってはいるものの、実際には自分が書いているコードはぐだぐだで悲しくなる。スピードがないぶん丁寧に正しく書けているかというとそんなことはなく、手が遅い上にろくなコードが書けないと来ているから始末に悪い。
以前より多少は良くなってきているとは思いたいが、それでも「以前と比べれば」というレベルでまだまだ足りていない。
コードを書くことは楽しいし、動けば嬉しい。自分が考えたロジックが思ったとおりに動作した時の嬉しさは間違いなくこの仕事のやりがいのひとつだろう。
いまの仕事は受託案件ばかりなので、それによってクライアントの要望を叶えて喜んでもらえることは単純に嬉しい。
勉強会開催の振り返り
とはいえもういい歳でもあり、ただ他の人達と同じことしかできない(あるいはほぼ劣っている)のではこの先生き残れるはずもなく、「僕にしかできないこと」を見つけるしかない。
僕が他の誰かより自信を持って優れていると言えるようなところがあるとは思えず、あえて違うところを挙げるとすれば歳を食ってることと勉強会に行きまくっていることくらいなので、そこのひとつの結果としての今回の勉強会だったかな、とは思っている。
「自分ができること」を使って「自分が知りたいこと」を勉強できるとか、こんな俺得なことはない。
登壇していただいた中根さん、守谷さん、ますPさんはじめ、モデレータを買ってでてくれた伊原さん、そして参加くださった皆さまには改めて感謝を申し上げたい。
今回中根さんに登壇していただけたことは僕自身にとってもとても嬉しいことで、参加してくださった皆さんにも『目の前で音声ブラウザを操作するところを見られる』機会はそうそうなかった経験だったと思う。また、守谷さんには体系だてたアクセシブルなデザインへの取り組み方を話していただき、ますPさんには僕のリクエストに答える形でのセッションをしていただいた。
最後の質疑の時間も当初の予定の時間が足りなくなるぐらい深掘りしたお話が聞けて、まだまだできることはたくさんあるし、開催できたことで自分のやるべきことが明確になったことが本当に良かった。
アクセシビリティ対応の「楽しさ」
「アクセシビリティだけが」ということではないのだが、アクセシビリティにきちんと対応して(例えばタブキーでの移動がきちんとできるとかiPhoneのVoiceOverでちゃんと読み上げられるとか逆光の中でも文字が読めるとか)結果が出ると単純に嬉しいし、「お、ちゃんとできたのかな」と思える。
そういったことのひとつひとつの積み重ねが結果としてより良いプロダクトになっていくことが、そのプロセスも含め僕が「楽しい」と感じるポイントでもある。
本当はもっと知識をつけたりスピードを上げたりすることが本質ではあるのだろうけど、そこに至る途中経過としても多少なりとも身になっているのではないか、と考えている。
「正しく対応する」ことで『誰もがほぼ同じコストでほぼ同じ情報、サービスにアクセスできる』ようになって困る人はいないし、そのこと自体に反対する意見はないだろう。
ただ、これが案件になると(実際今回の勉強会の質疑でもそういう質問も出ていたのだが)どうしても後回しになってしまう、というジレンマを抱えているのも事実。
そういった事実も踏まえた上で、制作者・実装者として何ができるかを改めて考える機会が得られたことは本当に良かったと思っている。
普段から「考えていないわけではないけれどどうしても後回し」になってしまうことを、どうやって普通のことにしていけるかは、やはり個々の制作者の対応次第の面も大きいのだ。
圧倒的に不足している『腕力』
今回の勉強会を含め、ここ最近何度か「コードを書く腕力」というキーワードを聞く機会があって、振り返ってみるに自分には圧倒的にその『腕力』が足りていないことをつくづく感じた。
あらゆる面でまだまだ腕力が足りない。
ここでいう「腕力」とは、仮にそもそもそのプロジェクトで「アクセシビリティ対応」が謳われていなかったとしても、例えばエンジニアがそれに対応したコードを最初から作成しておく能力を持つ、ということ。
エンジニアが当たり前にアクセシビリティ対応したソースコードを書けるようになればアクセシビリティ対応することが「コスト」ではなくなり、導入への障壁はずっと下がるし、クライアントに対しては「弊社ではそもそもこのレベルまでのアクセシビリティ対応は『標準で』していますよ」と言える。それを実現するのが『エンジニアの腕力』という意味である。これはデザイナーにも同様に当てはまる。
「腕力で」と聞くとただ力づくで、というあまり良くない印象を受けるかもしれないがそうではなく、正しく書いて正しく表示される(伝わる)ように書くためには速さと正確さが間違いなく必要で、自分にはそれが全く足りていない。
それが足りていれば(もちろん今の自分からすると簡単にできるものではないけれど)自分も納得し、かつクライアント(やディレクター、プロジェクトマネージャーなど)に胸を張って『え、それもう対応してますよ?』と言えるようになるだろう。
その意味での『腕力』が自分に足りていないことをいろいろ痛感させられた。
腕力を鍛えるには?
最近良くSNSで目にする筋肉体操を引き合いに出すのもどうかと思うが、やはり自主トレするしかないんだろう。で、書いたものをどんどん公開してマサカリをもらって打たれながら強くなるしかないのかな、と思っている。
ありがたいことにデキる人たちは知り合いにたくさんいるので、時間を決めてその時間の中で作る+レビューなりしてもらう、を毎日少しずつでも繰り返して『息を吐くように正しいHTML(あるいはPHP、あるいはJavaScript)を書く©ますP』ようにならないと、結局のところ自分の説得力(腕力)不足が原因でプロジェクトの品質を落としてしまうことになりかねない。
アクセシビリティだけに限った話ではなく、コードを書くこと全てにおいて自主トレが重要なのは当たり前なのだけれど、ここ最近すっかりサボってしまっていたので、これを機に自主トレに励もうと思った次第である(´・ω・`)
明日のAdvent Calenderはこの記事のアイキャッチ画像を提供くださったizuizuさん!
2018.12.13 追記
エモいことだけを書いて終わっちゃってたけど、結構大事なことを忘れてたので追記。
届けようと思っていた人に情報は届いていたのか?
今後の課題として、「そういう情報を本当に必要としている人に開催情報は届いていたのか?」という問題がある。
そもそも今回の勉強会の企画段階では、『現場の制作者だけがアクセシビリティに対する意識が高くても駄目で、プロジェクト全体として対応していけるようになるためにはディレクター、プロジェクトマネージャーや、クライアントも含めた(巻き込んだ)全体での共通認識が大事』という考えから、ディレクターなどにも参加して欲しい、という意図があった。
その結果の一面としての『腕力大事よね』ではあったわけだが…。
もちろん、実際のところ参加してくださった中にはディレクター職の人も含まれていて、多少なりとも当初の目標が達成できた部分はある。
一方、これはもう本当に自分の拡散力不足を痛感したのだが、例えば「これからアクセシビリティに対応したいと思っていた」「そういう勉強会を探していた」「こういう情報を知りたかった」といった人たちまで本当にそもそも開催情報を伝えられていたかというとかなり怪しいと言わざるを得ない。
例えて言うなら「アクセシビリティ対応してますという触れ込みでサイトができたけれど、そもそも『してます』ということが知られてないんじゃ…」みたいなことかな、と。
知っている人はわかっている、はもちろん大事だし、今回も総勢30名近くの方に参加していただけてとてもありがたく思っているが、振り返ると事前の準備からなにから、まだまだ運営面で足りないことが多くあった。
次回いつ開催できるか、そもそも次回の開催はあるのか現時点では全く未定なのだけれど、今回参加くださった方にまた来たいと思っていただけるような、そういう情報を求めている人にきちんと情報を届けられるように、「誰もがほぼ同じコストで『自分が探している』ほぼ同じ情報、サービスにアクセスできる」対象となれるように、努力しようと思う。
あれ、結局エモいポエムやんか(´・ω・`)